20101123

レミの子育て、親育て相談室

お母さんたちの質問に、ひとつひとつ丁寧に答えてくれました。
レミ:「教師としての視点で僕は答える。この世の中に、問題をかかえた人の話をきいてくれるだけのやさしい人は多いけれど、道を示してくれる人が少ないから。優しさは十分溢れている。これまでも心理学者や哲学者を学校のミーティングに参加してもらってきたんだ。」
ミナコ:「哲学って、机上の空論みたいで嫌いだったんだけど、育児にこんなに役立つとは!便利!」

●自分の子だけは天才だと思い込んでいる親を子は真似る
5歳の子どもが、初対面の大人たちの体に勝手に触れ、ふざけたコミュニケーションの取り方をした。
私を含む、ほかの大人たちは、子どもだからと笑ってうけながしたが、レミは「いやだ!不快だ!やめてくれ!」と断った。2週間ほどして、レミが急にその時のことを語りだした。

レミ:「ふざけたコミュニケーションの取り方で、権力をしめす事を許さない。」
レミ:自分が神だと思っている。おごっている親が、自分の子を神だと思っているから。
ミナコ:いじめは、こうやって起こるのかもしれないね。
レミ:子どもだからと許すのは、逆に子どもを下にみている。子どもに失礼だ。いやならいやといわなきゃだめだ。

●私はあなたを育てた!
小さいころから保育園に子どもを入れている親が、暴れ、さわぐわが子を見て見ぬふり。
レミ:なぜだとおもう?
ミナコ:申し訳ないと思っているからじゃないかしら。
レミ:親は強くあるべき。申し訳ないと思ってはいけない。申し訳ないと思う気持ちが増せば増すほど、子は、ぐれる。
「私は、あなたを育てた」と自分に自信を、誇りをもって。だから子に媚びることはない。「静かにして」と言う権利がある。食事のときは、子どもに合わせてばかりいないで大人は大人の会話をすればいい。客の前でも、親は注意すべき。その場の雰囲気を悪くすることと、やってはいけないことを区別して、あまんじたり、人に気をつかってはいけない。

●子どもが創造したものを楽しめる大人、大人を楽しませる子ども
見学した日本の幼稚園や小学校の発表会で、ほとんど教師が用意した教材を与えられたまま演じ、子どもの創造性の余地がないこと。
ミナコ:親が観たときに、自分の子がほかの子と同じようにやっていることに期待し安心するから。
レミ:ぼくを講師に呼んでくれたら、あっという間にいい発表会を作れるよ!ぼくの学校では、春の遠足で山登りに行ったら、雪が春なのに降ってきた事を劇にしたいという子どもの提案で発表会をやったことがあるんだけど、ぼくは、椅子に座ってるだけで、とっても楽チン。子どもたちは、脚本や演出ができるとぼくの所に来る。ぼくはただ「つまんない」「何言ってるかわからん」「大人はそんな演技じゃ金をはらわん」「その動き寒そうでいいね」とか一般的に通じるものにしろというだけ。そうすると、子どもたちは生き生きして次々アイデアを絞り出す。どうやったらみんなに来てもらえるか、広報の仕方も考えさせる。それに、親も、想像力に富み、せこせこびくびく評価を気にしないで楽しめる気持ちに変わっていかないとね。

●消費社会の終わり
子どもが泣いたときに、口に食べ物を詰め込んだ親がいた
レミ:その行動がまさに「物が問題解決する」と勘違いしている行為を象徴している。

●いつかお母さんが現れた時に、あなたは自分を誇らしく思うよ
2歳で離婚したお母さんが現れない、孫を育てているおばあちゃんが、孫が友達に「ぼくも本当はお母さんいるんだけど、今はお仕事で遠くに行ってるんだ」というのを聞き、いつ離婚したという事実を話したらよいか。
レミは、じっくりとだまって考え、涙を浮かべて語りだした。
レミ:彼はとても賢くていい子だ。彼は、自分の傷を自分でなめて癒している。完璧な物語を作り上げている。そして、それは嘘や間違いじゃない。その傷に大人は、塩をぬる必要はない。本当の出来事なんて、知る必要はない。ただ言ってあげられるのは、
「今はいないけど、いつかあなたの前にお母さんが現れた時に、あなたは、自分を誇らしく思うよ」って、ただそれだけだ。君のせいじゃないんだから。

●ここにいない人からのメッセージ
文字は何歳から教えますか?
レミ:行政的には6歳だが、親は5歳から望む。親は早いとうれしいが、子どもにとってはつらいだけ。本を読んでいるふりはできても、読んではいないことを理解しなければいけない。パフォーマンスじゃだめだ。
「ここにいない人が、私たちにメッセージを送っている」ということを理解していないければ。
読むとはそういうことだ。読みは5から8歳。でも子どもそれぞれだから、実はどうでもいい。語学も。読めるようになるのが遅かった息子は、今では17歳でニーチェの分厚い哲学書が読めるのだから誇らしく思うよ。
ミナコ:斎藤公子先生も、文字は小学校にはいってからがよいと言っていますね。体や絵で表現することができなくなるから。でも、日本はひらがな、カタカナ、漢字、音読み、訓読みがあるから、大変なのよ~

●ご褒美でつればつるほど悪い事をする
暴力をふるう子ども。いい子にしていないとおもちゃ買ってあげないよと約束してますが。
レミ:①他のものと比較しない。比べて価値がないな、これっぽっちか、と思ったらまたなぐるよ。
②議論しない。話を聞かない。言い訳もきかない。
③がっとむきあって、真剣に、恐ろしく、感情的に、言いきる
「人をたたいてはいけない!人に暴力をふるうことは禁じられている!許されない!人は人をたたいてはいけない。二度と人をたたいたという話を聞きたくない。以上!」
ミナコ:最近は感情的に怒らず理性的に叱りましょうっていうのが流行ってるけど、レミさんみたいな迫力でいわれたら、言ってる言葉がわからなくても、なんかびびるよね。
レミ:親が自分の子を天才だ、神だと思っているとそういう子になるんだ。子どもが「ぼくが世界の創造主だ」と思わせてはいけない。
ミナコ:親も正しい姿勢をみせてないと言えないよね。しょっちゅうひっぱたいてる親だといえんわな。


●双子は同じ風船の中
双子の子をすぐに比較してしまう。
レミ:双子は同じ風船の中にいる。親が介入すればするほど、二人は風船の中に閉じ込められ息が苦しくなる。そっとひいて見て、えこどものようなグループにいる様子をみてごらん、それぞれが生き生きとしてくるだろ。ほめなさい、いいところを探していっぱいほめて。フィンランドの教育はそれでうまくいってるんだよ。

●恥ずかしいことは悪いことじゃない
いつももじもじしていて、ママにくっついてくるから、イライラする。
レミ:大人の私たちだって恥ずかしいことあるだろ。だから、お母さんだって恥ずかしいときあるんだって教えて、恥ずかしいことは悪いことじゃないねって受け入れる。それに、なんの病気もなく、元気で笑顔でいてくれるこの子に、何を贅沢いってるんだい!
ミナコ:(通訳に熱が入り、号泣。お母さんも号泣)


翌日レミ:昨日突然泣いたけど、悪いこと言っちゃったかな?ぼくの生徒に以前、心臓の重い病気だった子がいてね。あ~これは、感傷的になっちゃうけど。。。その子の両親が、ぼくが学校にその子を受け入れたことに、そのことだけで本当にうれしそうだった事を思い出すんだ。

レミさんに相談したいことがありましたら、えこどもまでお気軽にメールくださいね。
ecodomokids@gmail.com

読者のこどっこぶくろさんからご意見が届きました。
レミさんの講座の際に、スタッフで関わってくださった方なので、レミさんのお人柄をよく理解されています。ご指摘ありがとうございました。
以下に掲載させていただきます。


少し、気になった事をかきますね。
レミさんの言葉に、
日本語訳のニュアンスで、もう少しやわらかさ(やさしさ)を含んでいた方が良いかもなと思いました。

子どもたちに話す言葉の内容は、そのままでいいと思うのだけれど、
レミさんが話をする雰囲気が、
この活字の中からは見えなくて、
厳しいとか、突き放すような言い方をしている、という単純思考でイメージしてしまうかもしれない。(日本では)

子どもと目線を同じにする事を特に大切にして、レミさんが子どもとの会話をしている事。
イメージを持って魅力ある話し方。ユーモアのセンス、軽さも、大切にしている事。
くつろぎを持つ時間の感覚の中で、子どもとの、こういう言葉が話されている事。
そういう事を、もう少し伝えた方が、
伝わる事が多いかもしれないと、思いました。